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  • 執筆者の写真太田けいすけ

HPVワクチンとは?国の接種勧奨と議員連盟による取り組みについて解説


11月9日(火)に参議院会館にてHPVワクチン接種推進自治体議員連盟の設立総会が行われました。HPVワクチンについて社会での認知はまだまだ低いのが現状ですが、勧奨が再開され、今後は耳にする機会も増えるかもしれません。


私もHPV接種推進自治体議員連盟の一員として、HPVワクチン(以下:HPVV)でより多くの方の命が救われるよう、接種を勧奨していきたいと思っています。


そこで今回は、「HPVVとは何ぞや?」「なぜ地方議員が接種を勧奨するのか」といった観点から議連設立について解説していきたいと思います。


そもそも子宮頸がんってどんな病気?


画像引用:https://unsplash.com/s/photos/vaccine


まずは子宮頸がんがどのような病気なのかを解説していきましょう。


子宮頸がんとは

国立研究開発法人国立がん研究センターの「がん情報サービス」によると、子宮頸がんは以下のような病気です。

子宮がんは、子宮体部にできる「子宮体がん」と、子宮頸部にできる「子宮頸がん」に分類されます。
子宮頸がんは、子宮の入り口の子宮頸部と呼ばれる部分から発生します。子宮の入り口付近に発生することが多いので、婦人科の診察で観察や検査がしやすく、発見されやすいがんです。また、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要です。
子宮頸がんは、進行すると骨盤の中のリンパ節に転移したり、子宮を支えている靱帯を伝って広がったり、また血管やリンパ管を通って子宮から遠い臓器(肺など)に転移したりすることがあります。

引用:「国立研究開発法人国立がん研究センター」https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/about.html


子宮頸部で発生するがんなので、感染すると手術や放射線治療によって出産ができなくなるリスクや、最悪の場合には命を落としてしまう病気です。この病気を未然に防ぐのがHPVVの接種の目的です。


SDGsにも掲げられているHPVV接種の推進

性的接触を行った人の10%で病気が進行するとされており、国連の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)においても「子宮頸がんのない世界」が目標として掲げられており、具体的な施策として「世界の90%の少女が15歳までにHPVVを接種する」ことが進められています。


このように世界的にも取り組まれているHPVVの接種ですが、先進国では15歳未満の女性の接種率が50〜70%を記録している中で、日本での接種率は「1%以下」と壊滅的な状況が続いています。


HPVVの接種勧奨中止。そして勧奨再開

画像引用:https://unsplash.com/s/photos/vaccine


世界的にHPVV接種が推奨されている中で、日本では「全く対応していない」といえる状況ですが、そのような状況になった背景と2021年より再開される勧奨(接種を行政が勧めること)について紹介していきましょう。


バッシングにより勧奨中止に追い込まれる

日本では2013年4月にHPVVの定期接種が開始され、接種を希望する国民は接種費用の負担なく接種できるようになりました。しかし、この新たな取り組みはワクチン接種の副反応が数多く寄せられ、ネガティブキャンペーンによりわずか2ヶ月で中止されてしまいました。


その後、WHO(世界保健機関)などからたびたび勧奨を再開するように勧告されていますが、勧奨が再開することはありませんでした。


コロナ禍の裏で勧奨再開の動きが進む

HPVV接種勧奨がストップして6年が経過した2019年。ようやく事態が動き出し、勧奨再開の見込みが出てきました。そしてコロナ禍の中で社会的にもワクチン接種に対する抵抗感は少なくなり、2020年10月には厚労省から定期接種に関する通知が都道府県知事に送付されるなど、HPVV接種勧奨に向けて再び動き始めました。


HPVワクチン接種推進自治体議員連盟について


コロナ禍の中で再び動きが出てきたHPVV接種。このタイミングで「HPVワクチン接種推進自治体議員連盟」が設立されました。ここでは、議連が作られることになった背景や目的について解説していきます。


ワクチン勧奨の責任は基礎自治体にある

定期接種が認められたワクチンの接種を進めるのは基礎自治体である市区町村です。これは「予防接種法」という法律に定められており、ワクチン接種を直営または委託で推進することが求められています。接種にあたっては、ワクチン接種の対象者に通知を送り、住民への詳細情報提供(効果、接種方法、場所、注意事項 など)や相談窓口の設置、副反応情報の収集・分析などさまざまな業務が発生します。


HPVVは定期接種の対象となっているため、基礎自治体が定期接種を怠って住民に子宮頸がんの感染者が出た場合、「自治体がちゃんと周知をしていたら子宮頸がんに感染しなかったかもしれない」として訴訟の対象になる可能性があります。このように、HPVV接種について自治体は大きな責任を負っており、議員としてこの責任を果たすよう行政に求めることは当然の責務といえるのです。


議員の連携によって接種を推進していく

今回、HPVワクチン接種推進自治体議員連盟が設立されました。議員連盟というのは特定の課題解決のために作られるチームのようなものです。HPVV議連は所属政党や無所属などに関わらず、HPVV接種勧奨に賛同した120名以上の地方議員によって構成されています。


議連の参画メンバーの中には子宮頸がんの当事者もおり、事例の共有や情報発信のプラットフォームとして機能していくことが期待されています。今後は、議連としてワクチン接種予算確保の要望の国に働きかけたり、より多くの議連参加者を募って発信力を高め、全ての市町村で希望する方全員がHPVV接種ができる体制づくりを進めていきます。


垂井町や岐阜県でも、HPVV接種の勧奨を進めていきます

今回、ご縁がありHPVV議連の創立時メンバーとしてお声をかけて頂きました。技術で社会をより良くすることを政治活動のモットーとしている身としては、ワクチン接種によって失われる命が減らせるのであれば、勧奨に舵をきっていくべきだと考えています。


ワクチン接種については否定的な意見も多いことは承知していますが、接種を希望する方が接種できないのは問題です。ワクチン接種の選択肢が広がっていくように、まずは垂井町から、そして岐阜県や全国でも接種が進むように尽力していきます。







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